かな~り手強い見込み

シマヤッコラバーの私は、またしてもバヌアツシマヤッコに手を出しました。

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ヒレが傷んでいるように見えるのはたまたま撮影した瞬間がそうなっていただけで、とても体はキレイです。

 

実は本日届いた時点で、嫌な予感が。。。袋の中は黄色い水でパンパン。私は最近、薬浴にとても疑問を持っています。

 

動物は菌と共生していると聞きます。たとえば人間の皮膚には1兆個、消化器官には100兆個、口腔内には100億個の細菌がいるとか。たぶん魚の皮膚にもいると思います。病気の魚ならともかく、健康な魚を薬液にどっぷり浸すことは、バランスの取れた体表と体内の菌を致命的に破壊するおそれがあるように思うのです。

 

実は黄色い液で飼育されたバヌシマを購入したのは、これが2回目です。共通して言えるのは、生気がなく、ボーっとしているということ。そして、ライブロックを活発に突きに行かないということ。(私の事例がたまたまかも知れませんが)

 

人間だって変な臭いのする空気中で生活させられたら食欲減退します。まして、良い菌悪い菌含めて、誰彼かまわず片っ端から粛正する薬に浸けられたら、調子を崩すのも無理はないと思います。人間で言えば、病気でも何でもない人を無理矢理入院させ、毎日薬を飲ませているようなものです。

 

当然、薬液水槽の壁や底、水中の全てを含めて有害無害を問わず菌の絶対数や種の豊富さがないでしょうし、仮に岩があったとしてもデスロックであって、餌となり得る微生物も住み着いていないでしょう。その壁や岩を突いて、「水槽の岩にはボクの期待する餌はいないんだ」という負のすり込みをされてから買い手に届くわけです。その学習は、シマにとってはいらない学習だと思います。

 

うちの水槽に放して衝撃だったのは、ライブロックに餌を期待している様子がないことでした。シマヤッコ特有の逆さ泳ぎもゼンゼンしないし、興味深く岩肌をジロジロと眺めることもしません。ライブロックを餌場としてではなく、隠れ家としか認識していない様子です。

 

実は注文時に、次のタイプの2番であることを確認してもらいました。

 

1.ボーッとしている。

2.好奇心があり、動きが楽しげである。

3.神経質で隠れてばかりいる。

 

2の場合、新しい環境への順応が早く、食に対する執着も持ち合わせている可能性が高いからです。

 

今回、2に合致する子を選んでもらい、送ってもらったのですが、残念ながら届いた子は1のタイプでした。決してショップを責めるつもりはありません。こういった判断は見る人によって個人差があるし、正直、隔離ボックスの中では見分けがつきにくいということもあるでしょう。本当は自分で見てから買うのが一番ですが、飛ぶように売れてしまうバヌシマの場合、なかなかそうも行かないんですよね。結局通販を選んだ意思決定者の自分に全ての責任はあります。

 

人間で言えば、食欲がないって、体調的にか、あるいはメンタル的にか、いずれか、またはいずれもが、相当落ちてるって証拠ですよね。食べるって生物にとって根源的な欲求だし、最高にハッピーなことじゃないですか。それをしなくなるっていうのは、恐ろしい状況であると私は思います。

 

救いは、1200水槽にピカソクラウン1匹しかおらず、守るべきイソギンのいないピカソは、シマに対して全く攻撃性がないことです。ですから、この水槽に時間をかけてなじませれば、いずれ本来の食と生への執着を取り戻してくれる可能性があります。

 

今回届いた子は、めちゃめちゃ色はキレイです。縁あってうちに来たのだから生かしてやりたいですが、今は、既に起こってしまってどうにもならないことではなく、これからどうするかを考えなければなりません。

 

今回、すごく変な方法ですが、積極的な対策を取らない、という方針を考えています。魚の免疫を上げるために何かの液体を投入するとか、そういった人為的な介入をあまりしないように心がけたいと思っています。

 

今、うちの1200水槽は、以前の水槽の水を一部引き継いでいて、リフジウムもあり、水質的には安定期に入りつつあるように思います。ミドリイシを再開したのでトリトンの添加剤も入れているため、微量元素のバランスもソコソコのレベルに達している可能性があります。

 

ここしばらく、かな~りゆる~くピカソ1匹を飼育してきたせいで、トリトンがらみ以外の添加剤は一切入れていません。なので、バクテリアや細菌のバランスも安定しているんじゃないかと思われます。

 

ここへ持ってきて無理矢理食欲や抵抗力を上げようとして、やれ良性菌だとかバクテリアだとか、水槽内には存在ない色んな外部のものを投入することで、今の水槽で自然に出来上がった微細な生物相のパワーバランスを崩したくないのです。

 

水槽自体、自然界のものじゃないので矛盾するようですが、できるだけナチュラルであることがすごく大切なのでは?と思う今日この頃です。先日カフェドロゼさんに行って感じた、熟成されたベルリンの凄さって、そこなんですね。海のバランスとはゼンゼン違うと思うんですが、水槽はクローズされた世界なので、海のように大量の新鮮な海水が常に出入りする環境にはないわけで、その分、水槽内で菌や微生物が均衡していなければなりません。一方的に何かが強すぎて、逆に弱い者が不足がちとか、傾向が極端に傾いた水槽は、そこに投入されるより大きな個体(魚)にもやさしくないんじゃなかろうかと。海とは違う独自の生態系ができてて、豊富な菌をちゃんと飼える水で、初めて魚も飼える、っていうのがあるべき姿なんじゃないかなと。

 

栄養ドリンクもたまになら調子良いかも知れないけど、調子良い人が毎日飲むものじゃないですよね?外食だってたまにだから美味しいかも知れないけど、毎日食べたら飽きますよね?もちろん、ずーっと添加物で育てれば、それがその子にとっての自然な環境なわけで、それはそれで順応しちゃうのかも知れないけど。

 

コレ仮説ですけど、このシマヤッコについては、何ら特別でないごく普通の水槽の水になじんでくれたら、緊張が解けて食欲が出てくるかも知れないと思うわけです。何しろ、生まれてこのかた経験したことのない空輸や監禁状態を経てうちにきているわけですから、今必要なのは、安心できる平凡な環境なのでは?と思うのです。

 

実は今までムキになって、がんばって餌付けしてきたところもあるんですが、もしかしたら、飼い主のテクで餌付けできたなんていうのはただのエゴで、魚ちゃんが心身共に食べたい気持ちになってきた状態を、餌付けできた、と呼ぶのかも知れません。だからシマキーパーの経験談が、ブラインだったり、粒餌だったり、都度効果のあった食べ物が異なるのは、実は食べ物の問題でなく、落ち着ける環境であったり、個々のシマの順応性だったりして、シマのメンタルが良い方にシフトする瞬間にスイッチが入るんじゃなかろうかと。

 

この子の心身の健康が戻るのが先か、体力がなくなるのが先か、地道に見守ろうと思います。