リアルなサンゴ礁の水温

(9/9更新 以下の記事には、続報があります。高水温は危険ですのでご注意を)

 

フラグの成長を促進するには、どうしたら良いんだろう?なんて調べごとを続けているうちに、ふと、温度か?なんてことを思い立ちました。

 

前回の投稿でメタハラが気になると書きました。海外リーファーさんたちが、成長が一番早いのはメタハラ、と言っていますよ、と。で、LEDに不足していてメタハラに豊富にあるものとして、もしかしたら紫外線(Ultraviolet light)と赤外線(Infrared light)が成長を促進する要因になっているのではないか?と推測を立ててみたわけなんですが、その記事を書いた直後に、ん?メタハラはLEDよりも水温を上げそう、と思ったわけです。もちろん、クーラーで下げるわけですが、LED水槽よりも、水温が上がったり下がったりくらいはしますよね?使ったことないので分からないのですが。

 

そう思ったら、もしや温度では?と思ったのです。というのは、赤外線は紫外線同様、目に見えない光線なので、その主な作用は色うんぬんではなく、熱伝導になると思うんです。そうしたら、たとえ水槽自体はクーラーで冷却していたとしても、赤外線直下にミドリイシを置くことで、何らかの影響を受けるのでは?と思ったわけです。赤外線は電磁波の一種なので、光としての作用よりも、電磁波的な効果の方が大きいのでは?と。

 

そう考え始めたら、メタハラで成長が速い原因は、単純に赤外線から来る熱伝導効果なのかな?などと推測してみたわけです。そしたら急に「ミドリイシの適温って何度?」と気になり出しました。そこで色々調べて分かったことは、自然下のミドリイシは、結構高い水温下に暮らしているかも知れない、ということです。

 

以下のページに、驚きの情報がありました。

http://www.ronshimek.com/salinity_temperature.html

Ronald L. Shimek博士

 

サンゴのような特定の生物に適した温度を調べるには、その生物の分布図を把握するのが良い、というのです。その分布図の中心付近は個体数が多く、分布図の周辺に行けば行くほど、その個体数は少なくなることから、中心付近がその生物の最適な水温であろう、というわけです。

 

そしてなぜ水温がそんなに重要なのか?という点について、リーフに生息する大半の生物は、自分の体温を調節できないので、その代謝は、完全に外部の周辺温度に左右されてしまうため、というわけです。このことは、上記の、個体数の多い分布の中心の水温が、その生物にとって最適な水温とみなすことができる、という説明を裏付けていますよね。もし自分で体温調節できれば、ある程度まんべんなく分布できると思うのですが、そうではなく、中心付近で個体数が多いので、その水温が、自己の代謝や活動に最適であったことになります。

 

この記事では、水温が5度変われば、代謝率が48%変化し、10度変わると、代謝率は96%変化するという別の人の論文を引用しています。

 

広い海洋には、当然年間を通じて10度以上振れ幅があるところもあるはずで、上記の研究が当てはまらなくなっちゃうのですが、私の読み込みが甘いのだと思います、たぶん、この研究にはちゃんとした前提があるはずです。しかし、いずれにしても、サンゴ礁に住む海洋生物と水温には、極めて大きな関連がある、というのは間違いないと思って良いでしょう。

 

また別の学者による論文を引用し、サンゴ全般で、最も速い成長が認められたのは、27-29度である、とも書かれています。

 

また1,000を超えるサンゴ礁の水温を測定した論文によれば、平均温度は華氏81.7度(摂氏27.6度)であったとのこと(地球温暖化が騒がれる前の論文)。

 

いかがでしょう?我々が知っている適温って25度とかじゃないですか?実際には、それよりも高い水温で生息しているケースがほとんど、ということになりそうです。

 

もっともこの記事には、水深の記述が見当たらないので、海面なのか、水深数メートルなのかが定かでないので、ちょっとはっきりしないところもあります。ネットで主要なサンゴ礁があるエリアの海水を調査してみるのも良いかも知れませんね。

 

巷で言われる25度というのは、いったいどこから出てきたのでしょう。魚の生息域で考えると、浅瀬のサンゴ礁より深いところの水温が推奨値と設定された可能性もあるのかな?なんて思ったりしました。

 

私個人は、これまで24.5度で設定していました。根拠はなくて、なんとなく、もしかしたら気持ち低めの方が苔が抑えられるかな?なんて勝手に決めつけていたところがあります。

 

この記事を読んだ方には、ぜひご注意いただきたいのですが、ミドリイシは高温だと褐虫藻が抜けて白化してしまうのは、疑いようのないことなので、お気をつけください。どの辺が限界なのかは、私には分かりません。水温をいじるときは、完全に自己責任でお願いします。そして、水温を上げると生育が速くなるかどうかも定かではありません。

 

上記のページでは、塩分濃度についても書かれていて、一般には、サンゴ礁の塩分濃度は35-38pptが普通(場所によって大きく変わる)であるとあります。たとえば35pptを25度で換算すると、比重が1.0264に、38pptだと1.0286なります。一般には、水槽の比重は1.024-1.025あたりが推奨されていることが多く、サンゴをやる水槽ではちょっと高めの1.026くらいを狙っても調子良いよ、なんて話を聞くかと思うのですが、実際には、1.026-1.028くらいまでは上げても調子良いのかも知れません(これも自己責任でお願いします!)。

 

でも、アレですよね、世界中でかなりの人たちがリーフタンクを維持していると思うのですが、水温が26度程度を許容値の入れている人は結構多いですが、比重が1.026(塩分濃度35ppt)以上っていうのは、海外フォーラムを含めて、あまり見ない気がします。

 

実験的に、ちょっと時間をかけて、少しずつこれに寄せて行ってみようかな~?と企んでおります。本格的にやるならば、条件の同じ水槽と生体を用意して比較しなければならないんですが、そこが素人の詰めの甘さです。検証はできないんですが、感覚あるいは経験的に身につけるしかないのかなと思ってます。

 

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追記:上記のRonald Shimek氏の記事では、サンゴ全般に関する水温について書かれていますが、ミドリイシに限った内容ではありません。分布図の話題が出たのですが、ミドリイシの分布図は書かれていませんでした。ミドリイシの参考水温は、各地の有名な珊瑚礁エリアから得るのが良いかも知れませんね。

フラグをもっと成長させたい!

7月11日に導入したフラグですが、ポリプはフサフサですが、ものすごく成長が遅いです。まだ約1.5か月ですから、当たり前と言えば当たり前なのですが、やっぱり、早く親指サイズを卒業して、ブランチを伸ばして欲しいですよね。

 

というわけで、海外フォーラムなんかをチラホラ見ながら、成長方法を調べてみました。

 

まず目についたのは、メタハラです。

 

メタハラ、T5、LEDを全て使用したユーザーが口々に、成長を目指すならメタハラが一番と言っているようです。現在主流のLEDのスペクトルと比較してみると、メタハラのスペクトルは、特にUV(紫外線)とIR(赤外線)の量が極端に異なっていることが分かります。どんなに充実したフルスペクトルを謳うLEDでも、UVとIRだけは、自然光には遠く及ばないものがほとんどだと思います。ですが、以下のページにも記載が海中の実測スペクトルにもあるように、UVとIRは、5.5メートルあたりまでは、がっつり届いてるんですよね。

 

http://www.haru-design.jp/led/led_experiment_1.php

 

よく、水草の育成には、UVとIRが大切と言われるようですが、ミドリイシの中の褐虫藻光合成を行っていますから、もしかしたら、植物同様、適度なUVとIRが成長を促進する役割があるのかも知れません。いわゆる光合成を必要とする植物の育成に関しては、ここいらのUVやらIRやらが成長にどう影響するのかを研究した論文もいくつかあるようです。 

 

どこかのLEDメーカーが、UVとIRを自然光並みに充実させた調光付きのLEDを開発してくれないだろうか?

 

UVとIRが必要か不要かという議論はあると思うんですが、単純に、自然下と同じ光環境で育ててみたいなぁ~という興味はあります。色揚げ/色維持が超困難と言われるスパスラータなどは、海外での成功事例を見る限り、メタハラが有効なようですし、今のところは、太陽光に一番近いのがメタハラになるのかも知れません。

 

確かに、近年、LEDは強烈に進化しました。スペクトルという面で、非常に素晴らしい成果を上げていると思います。ですが、私は、もしかして!と思うことがあるのです。

 

ミドリイシは、分類上は動物です。あんな動かない木のような生き物なのに!そしてさらに驚くことに、ミドリイシという動物は、褐虫藻という「植物」を体内に住まわせています。そしてその褐虫藻光合成を行って得たエネルギーを、ミドリイシがもらっているわけですが、ここで重要なことは、ミドリイシに植物的な活動が大きく影響しているということです。

 

ミドリイシが栄養を摂取する方法は二つあって、一つは褐虫藻が行う光合成から、もう一つはポリプから摂取するプランクトンです。LPSにいたっては、プランクトンどころか、動物をまるごと食ったりしますよね。

 

しかしいずれにしても、ミドリイシの成長を考えるうえで、植物的な光合成活動を無視できないわけですよね。

 

そう考えると、今後、LEDを含む水槽照明の、個人的に目指して欲しい方向性というのは、やはり、スペクトルやら蛍光タンパクやらだけでなく、うまく光合成が促進されるかどうか?と思うのです。そこにもし、UVなりIRなりの必要性があるのならば、それも開発のベクトルに加えて欲しいのです。だって、太陽にあって、水深の浅いところではちゃんと透過してるんですから。植物に関する論文の中には、UVは、過剰であると非常に有害ですが、適度であれば光合成を促進するというものもあるようです。あるいは、人間のような動物にとっても、骨格の形成に重要なビタミンDの生成や殺菌効果など、UVがある面では有益であることが分かっています。動物と植物の両方の面を持つミドリイシにとっても、このへんの研究がもっと進んで欲しい!と思います。

 

以下のようなページに、植物における紫外線(UVA、UVB、UVC)、赤外線の影響が書かれています。

https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1733

 

というわけで、いつかそのうち、メタハラも試したみたいなと思いつつ、とりあえず今は、それ以外の方法を模索します。

 

次に気になったのは、アルカリ度/炭酸塩硬度です。非常に面白い実験結果が、以下のページにありました。

 

https://reefs.com/magazine/how-to-grow-corals-quicker-effects-of-various-alkalinity-concentrations-on-rates-of-zooxanthellae-photosynthesis/

 

ミドリイシ内の褐虫藻光合成をテストしたところ、炭酸塩硬度6.4dKHと比較して、12dKHの方が29%も高い光合成が行われていた、というのです。

 

以下は、その理屈をだいぶはしょって書きましたが、それでも、だいぶ分かりにくいかも知れません。

 

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水中の重炭酸塩が増えると、水中の炭酸脱水酵素ミドリイシ細胞壁を通過して細胞内に入るのを助け、その、ミドリイシの細胞内に入った炭酸脱水酵素が、ミドリイシの体内にいる褐虫藻が必要とする二酸化炭素の消費を促進する、よって高い光合成が得られる、ということのようなのです。

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水中のアルカリ度を上げると、ミドリイシの成長が促進される、と言われますよね?そして、照明の強度を上げたりすると、ミドリイシによるアルカリの消費が促進され、水中のアルカリ度は下がる、という風に、私は理解していたわけなんですが、実は、ミドリイシがアルカリを消費していたわけではなくて、高いアルカリ度が間接的に褐虫藻光合成を助けていたんですね。

 

というわけで、現在、7dKHを若干下回っている我が家のアルカリ度を、時間をかけて8~9dKHあたりまで持っていってみようと思います。

 

ちなみに上記テストは、特に強い照明下で行われたわけではなく、どちらかと言えば、弱い照明下で行ったと書かれています。

 

ここで一つ、非常に面白い事実が分かりました。照明の強度を上げたり、照射時間を長くすれば、ミドリイシの成長は促進されますよね?それは、ただ単に光を強くしたから起こるのではなく、照明の強度を上げるのに伴って、当然、ミドリイシキーパーの皆様はアルカリ度を測定し、アルカリ度が下がらないように、カルシウムリアクターを調整したり、自分みたいなボーリングメソッドの人なら、アルカリのドーシング量を増やしたりして、水中の重炭酸塩を上げているわけですよね。だから、重炭酸塩濃度の上昇が光合成を促進し、成長度合いが上がるのであって、もし照明だけ強くして炭酸硬度を上げなかったら(そんなこと普通のキーパーさんはやりませんが)、ミドリイシを成長させるのではなく、単に、焼いている、ということになってしまいます。

 

逆に言うと、照明を強くしなくても、アルカリ度/炭酸塩硬度を上げるだけでも、光合成が高まり、ミドリイシの成長度合いを上げることができる、ということだと思います。

 

とりあえず、自分の場合は、この、照明を特別強くすることなく、炭酸塩硬度の上昇によって、褐虫藻光合成を促進する方法によって、フラグの成長を促したいと思います。

 

ミドリイシの成長が促進されると、生長点が見られるようになりますよね?そうすると、枝の先端部分だけは輝いて見えますので、いわゆる色揚げとは違っても、見栄え的にもとても良くなるんじゃないかと想像しています。あるいは、もしも、成長に伴ってミドリイシの生長点だけでなく、ヒダヒダ部分が明るくなるようになるのであれば、それこそ色揚げ成功、ってことも、なきにしもあらず?かなと思ったりもします。

 

もしこれがうまく行けば、照明でミドリイシを焼いちゃうとか、褐虫藻を抜きすぎてミドリイシを健康をギリギリにしちゃうとか、そういったリスクを冒さずに、そこそこの色揚げができるかも知れません。いや、できるかもというより、上級者の皆様はこんな感じで色揚げされているのではないでしょうか?

 

そう思うと、よく巷で言われる、成長モードか、色揚げモードか、っていったいどういうことなんだろう。。。上に書いた自分の推測では、成長あっての色揚げかなと思ったんですが、成長させずに色揚げするって、どういうメカニズムなんだろう。。。あまり炭酸塩硬度を上げずに照明を強くし、かつ栄養塩をカツカツにして褐虫藻を抑制気味にするということなのだろうか。。。。分からない。。。。

 

ところで、特に低栄養塩水槽でdKHを上げると、ミドリイシの先端が焼けてしまうので、もしこのブログを見て、やってみよう!と思った人がいたら、注意してくださいね。

 

dKHと、栄養塩濃度と、照明の強さは関連性があって、栄養塩が低く照明が強い水槽では、dKHは抑えめにしないと焼けを起こす可能性があり、逆に栄養塩がある程度あって、照明もあまり強くない水槽では、ある程度dKHを上げても焼けを起こさないようです。

 

一般的には、超低栄養塩水槽ではdKHは7~8くらいまで、栄養塩が高い水槽ではそれ以上も許容可能とされているようです。といっても、海外でも9dKH以上にしている人は、ほどんど見かけません。

 

ところで、今のところ、約1.5か月はうまく行っている無換水でのフラグ飼育に気をよくして、ヤフオクで追加のフラグをポチってしまいました。到着が楽しみです♪ 以前はフラグにはあまり興味はなかったのですが、こうして成長について考えだすと、どうも小さいものから育ててみたいという気になってきます。

 

どうなることやら。

バクテリアとポリプの因果関係は。。。

7月11日に導入したミドリイシのフラグ、約1か月が経過しました。ここ数日で、ん?と思うほどポリプがボサボサになってきました。相変わらずの無換水です。

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以下が入海16日目(置き場所が変わっちゃったので角度が違いますが)

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以下が入海初日

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Ca 450

Mg 1350

Alk 6.7

NO3 9

PO4 0.05

 

ちょっとポリプが出てきたので、海外フォーラムでこんな質問をしてみました。

ミドリイシって、バクテリアも食うんですか?」

 

というのは、うちの場合、ウォッカ(40%のエタノール)ドーシングによって、バクテリアを増殖させているので、もしかしたら豊富なバクテリアミドリイシの餌になっているんじゃないかと。

 

でもよく考えてみると、バクテリアって、ただの単細胞生物なんですよね。要は、細菌です。その中には、病原菌もあれば、いわゆるヨーグルトに入ってるビヒズス菌みたいな善玉菌と呼ばれるものもあって、細菌だから良い悪いってことはないんですが、果たして、こんなもんで栄養が足りるのだろうか?と。。。

 

関心のない人にはどうでも良い話ですが、ミドリイシは、めちゃめちゃ不思議な生き物で、歩かないのに「動物」。で、体の中に光合成をする「植物」、いわゆる褐虫藻を飼っていますよね。で、一説には、栄養の大半を褐虫藻光合成で生成したエネルギーから得ていて、残りを、伸ばしたポリプによって捕食したプランクトンから得ている、と言われていますよね。

 

プランクトンならば、いわゆるユーグレナミドリムシ)に代表されるように、栄養豊富であることが理解できます。しかし、バクテリアってどうなんだ?と。1マイクロメートルほどしかないバクテリアは、ミドリイシの餌になり得るのだろうか?と。

 

そこで、ちょっと調べてみると、バクテリアもなかなか多種多様で、納豆に含まれる納豆菌、ヨーグルトに含まれる乳酸菌など、実際、かなり有益な仕事をしている子たちも多いのです。バクテリアの種類は多種多様で、有機物を分解するもの、光合成を行うもの、石油成分や発がん物質を分解するもの、硫化水素を分解するもの、などなど、こいつら、ちっこいくせに、やってる仕事はとんでもないぞ!と驚くばかりなのです。最近では、放射性物質を分解するバクテリアが、将来、宇宙飛行士の被ばくを軽減するかも知れない、みたいな話がニュースになりましたよね。

 

が、しかし!肝心な「バクテリアは、摂取して捕食者の栄養になるの?」という回答は得られない!!!

 

で、海外フォーラムに投降した私の質問に、返答がつきました。

 

回答1「バクテリア、食うよ」

 

回答2「バクテリアは食わないかも知れないけど、僕は炭素源を添加してるよ。それは栄養塩処理の目的じゃなくて、食物相を豊富にするためなんだ。バクテリアを食うプランクトンをサンゴが食うからね」

 

どちらも、ものすごく的を得た回答だと思いました。1は、確かにミドリイシが触手を伸ばして捕まえるものを、いちいち大きさを判別して、捕まえたり逃がしたりはしていないと思うのです。だから結果として、バクテリアプランクトンも食べてるよ、っていうのは、一理ありますよね。というか、1マイクロメートルの単細胞生物ですから、食べてるというより、口に入っちゃってる、という方が正確でしょうか。

 

2がさらに面白くて、バクテリアが豊富だと、プランクトンもハッピーで、そのプランクトンを、サンゴがウハウハで食べる、って考え方ですよね。こっちの方が現実的かも知れませんね。

 

結論から言うと、バクテリアがサンゴの餌たりえるか?はさほど重要ではなくて、間接的に生物相の充実に寄与し、、、あ、いや、難しい言い方はやめましょう。要は、餌の餌になってるんだよ♪っていうことなんですね。

 

いや、餌の餌ってのも、正しくないかも知れない。例えば陸上では、動物の死骸をバクテリアが分解し、その養分で草木が育ち、それをまた別の動物が食べる、みたいに、要は、バクテリアは直接摂取されないにしても、何らかの形で、生物相の充実に大きく寄与している、っていうことなので、食べるというか、なんか見えないところで色んな仕事をしてますよ、ってことなんですよね。

 

で、バクテリアとポリプの因果関係は、ますます謎に包まれました。だって、バクテリアって、十数分で倍になると言われていて、さらにその数十分後に、倍になったものがさらに倍という風に、ネズミ算的に増えていきますから、たった1日では数千億どころじゃない数になるのです。そう考えると、炭素源の添加なんていらないんじゃない?ってな考え方も成り立ちます。確かに、炭素源など添加しない水槽で、ポリプがフサフサのミドリイシも見かけますし、そう考えると、この仮説は、まったく成立しないんですよね。

 

海外フォーラムなんかでよく言われるのは、ミドリイシは、水質の安定を好む生き物、ということですが、要は、ミドリイシが好む水質の範囲で、変動が極力小さい状態を長期間維持すると、自然と絶好調になってくる、っていうことですよね。どちらかというと、そっちの方がポリプの状態との関連はあるかも。。。

 

あるいは、飢餓説もありますよね。栄養が足りてないから、より長時間活発に捕食を試みているんだと。。。う~ん、、、これを確かめるのは、無理っぽいなぁ~。。。栄養が足りてるかどうかなんて、測りようがない。。。。光合成を少なくするために、照明を落とすとか、ちょっとリスクがありすぎてやりたくないし。。。

 

そもそも、ポリプが出てるとか出てないとか、あまり気にする必要はないのかも知れませんね。

無換水SPS 16日目

7月11日に導入したフラグ、約2週間ちょっと経過しました。何ら問題なさそうです。

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導入時の写真が以下ですので、どちらかと言えば、コンディションは良くなっているように見受けられます。若干、肉付きが良くなってますよね。色の違いは、たぶん照明の影響だと思います。下の写真は石灰藻がより赤いので、照明自体が白っぽい時間帯の写真なのだろうと。。。。

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ところで、スキマーレスにするつもりだったんですが、あっさりスキマーを導入しました。ウォッカドーシングだけでも栄養塩はかなり下がるのですが、水槽に白濁が見られるようになりました。つまり、炭素源の増加によってバクテリアが大繁殖を起こしていたと推測されます。で、白濁をそのまま放置すると、バクテリアの消費する酸素によって、水槽内に酸欠が起こります。海外でウォッカドーシングを失敗している人(生体全滅など)の典型例が、このような酸欠によるものだと思うんです。なので、そんなヤバいリスクは負わないことにします。

 

調べてみると、そもそも、スキマーを使わずにウォッカドーシングだけをやる人っていうのが、ほとんど皆無に近い、ということも分かってきました。原理としては、ウォッカ(炭素源)の添加によってバクテリアを爆殖させ、そのバクテリアが栄養塩を消費し、バクテリアごと栄養塩をスキマーで吸い取っちゃう、ということのようなんですね。なので、スキマーがないと栄養塩の排出が十分に行われない、ということのようなのです。

 

もしスキマーレスを本気で狙うなら、大容量のリフジウムの方が、まだ安全な気がします。

 

と言っても、うちでは今のところスキマーは、夜間は停止し、昼間だけ動作させています。これとウォッカの併用で、硝酸塩は約10くらいに収まっています。ウォッカの添加量を増やせば、硝酸塩5くらいまでは余裕で持って行けるはずですが、経験上、栄養塩をカツカツにすると、それはそれでリスクがあることが分かっているので、硝酸塩は5~10の範囲で収まっていればヨシとしたいと思います。

 

最近分かったのは、硝酸塩が25ほどあったとしても、ちゃんと立ち上がった水槽(バランスの取れた多様なバクテリア相が充実している水槽)では苔が生えてこないし、逆に硝酸塩がカツカツであったとしても、立ち上がっていない水槽では、がんがんに苔が生えてくる、ということです。なので、10くらいの硝酸塩は、全く問題ないと捉えることにしました。もちろん、ミドリイシの色をもっとパステルにしたいとかだと、ここを極めなければならなくなると思うのですが、私のテクではそこまでいきませんので、現状維持としたいと思います。

 

本日のパラメータ

Ca: 450

Mg: 1370

Alk: 7

No3: 10

 

カルシウムとマグネシウムとアルカリは、ドーシングポンプによる添加を開始しました。といっても、それぞれ1ml/日程度なのですが。というのも、たった1個のフラグでも、10日目以降あたりから、カルシウムとマグネシウムの若干の低下がみられたからです。もちろん、換水していれば十分にカバーできる程度の微量な減少ですが、うちでは今のところ換水していないので、添加で補うしかありません。

 

最近連れてきたチェルモンですが、お亡くなりになってしまいました。一時は活きブラインを食べていたのですが、その後、食欲が減退してしまいました。やはりショップで食べていない子は難しいですね。

 

今後、チェルモンの追加導入はないと思います。2匹を入れると、先住がかなり激しく追い回しちゃうことが分かったので。

 

その先住さんです。チェルモンらしからぬプックリとした太り具合で、かわいいです。

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普通、ショップで見かけるチェルモンって、ゴリゴリに痩せてて、骨の形状が分かるようなのが多いんですよね。でも、太ったチェルモンは最高にかわいいです。

 

餌は1日2回ないし3回ですが、たまにアサリやクリルなど、肉の多い食事を与えるようにしています。それと、何度かライブロックからヨコエビを食べているのを目撃したので、その効果もあると思います。

 

この手のチョウがライブロックを突くのは普通ですが、チュルっと突いた後にヨコエビが飛び出てきて、それをど突きまくるのを何度か見ました。なので、水槽内の豊富なヨコエビが、この子の肉付きに寄与しているのは間違いなさそうです。このままぷくぷくと育って欲しいです。

ずぼらSPSチャレンジ、5日目

先日投入したミドリイシのフラグ、5日間が経過しました。

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今のところ特に問題はなく、健康そうです。

 

水質を測ってみると、Ca 490、Mg 1410、Alk 7.7、と、奇妙なことに投入時よりも若干数値が上がっておりますが、おそらくは測定誤差ということで、相変わらず理想的な範囲におさまっています。NO3は10、PO4は未計測。

 

やはり、フラグ1個では、ほとんどミネラルを吸収しない、というか、既存のライブロックにある石灰藻が消費するのと同程度のミネラルしか消費しないようです。このフラグがだいぶ成長するか、追加のミドリイシを追加しない限りは、特にカルシウムやマグネシウムの添加は必要なさそうです。

 

運用スタイルは、無換水、スキマーなし(代わりにウォッカ添加)、トレースエレメント添加(プロコーラルミネラルを1日あたり17g)という、ずぼらキーパーの鏡のような仕様です。

 

このスタイルのメリットは、圧倒的な低コスト、低労力、そして静音です。デメリット、と言って良いのかどうか、まだ定かではありませんが、微量なミネラルバランスが、中長期的に崩れてくることでしょうか。しかしそれも、厳密に言えば、換水を行っていたとしても、生じ得ること、ではあるんですよね。

 

換水の場合は、水を入れ替えているので、ミネラルバランスは補正されやすいと思います。トレースエレメントの添加は、何も抜くことなく足していくので、ミネラルバランスは、崩れやすいのでは?と推測しています。

 

ただ、その度合いが、ミドリイシの飼育に支障が出るほど崩れるのか、ある程度崩れても飼育可能なのかは、実際に試してみないと分からないと思います。

 

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さて、こちらは新入りチェルモンのペーターですが、活きブラインをパクパク食べているにも関わらず、相変わらず痩せてますね。さすがに孵化直後の小粒のブラインベビーでは満腹にはできそうにありません。人工の粒餌を食べて欲しいものですが、経験上、ここから粒餌に持っていくまでに、1~2週間はかかるのでは?と思ってます。

 

今のところ、餌は岩の穴からくちばしでチュルっと吸うもの、という認識から、餌は水中を漂ってくるもの、という認識へと変化しており、学習の途中経過は良好です。次の段階は、漂ってくるもの、あるいは底に沈殿してるもの、は、たとえ生き物のように動いていなくても餌なんだ、という学習になります。

 

いきなりその段階には行かないので、今は活きブラインをスポイトで投入する前に、粒餌をすり潰した微粉を撒いています。たまたまカゴの底の方を漂うブラインを吸い込むときに、偶然、微粉を吸い込み、もしかしてコレ餌なんじゃね?と、その味を覚えさせる作戦です。そんなに狙ったように吸い込んではくれないので、気長に待ちましょう。

がんばれ!ペーター!

先日導入したチェルモン(ハシナガチョウチョウウオ)。全く何も口にしない日々が続いており、久々に冷や汗をかいております。が、希望の光が見えてきました。

 

まずは、殻付きアサリに反応しないのを重症とみて、隔離しました。とある上級者様に以前教えていただいたように、狭いところの方が、餌が認識しやすいのでは?という考え方です。

 

我が家では、主に、即放流の方法を取ってきました。魚がリラックスするからです。そして、新入りをいびる先輩がいたら、先輩の方を隔離します。これがうまく行くこともあるのですが、今回はどうもそうじゃないようです。

 

というわけで、新入りチェルモンを籠に入れました。この籠の中のチェルモンを観察していると、細いですが、ウ〇チを確認できたので、やはり、放流時に微生物をついばんでいたんだと思います。しきりに岩を突くのだけは確認できていたので。しかし、それではおそらく徐々に衰弱して行く可能性が高いので、何とか餌付けたい、というより、人工餌でなくても良いので、とにかく何か口にして欲しいです。

 

ところが、この狭い空間に何を投入しても、ガン無視です。皆さまもご経験があるかと思いますが、こんなときの精神的プレッシャーは超デカいです。ショップでの餌食いを確認せずに購入したことを、かな~り後悔しました。ですが、とにかくやるだけのことはやらないといけません。

 

というわけで、私がシマヤッコの餌付けのときに多用する、活きブラインシュリンプを試します。孵化したブラインを雪のように降らせ、間違って口に入っちゃった、のを利用して食欲を促進します。かなり頑固なシマヤッコでも、この方法の成功率はかなり高かったです。

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この方法のもう一つの利点は、ブラインがピョコピョコと動き回ることです。今回のチェルモン(ペーターと名付けました)は、冷凍ブライン、冷凍ホワイトシュリンプ、冷凍イトメなどの豪華ディナーに反応しませんでした。ここから分かったことは、生き物らしく動かないものに興味を示さないのです。チェルモンの餌付けで泣かされた経験がある方なら、そうそう、と分かっていただけることでしょう。

 

卵から孵ったばかりのブラインは、小さすぎて無反応でした。それでもあきらめずに、3日目。孵化後3日も経つと、オレンジ色がかなり濃くなり、つぶも大きくなり、そしてなにより、パッと見て分かるほど、水中でピョコピョコ動くのです。

 

これをスポイトで籠に投入したところ、食べました!立て続けにチュルチュルと!

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孵化したブラインを投入するときは、全ての水流を止めて、ブラインがピョコピョコしているのが分かるようにすると効果的です。3日目以降の、もっと大きなブラインならば、もっと効果的かも知れません。

 

今後の作戦は、活きブラインをスポイトで投入する際に、人工餌の粉末を混ぜます。その粉末を間違ってブラインと一緒に吸い込んじゃうことで、人工餌の風味になじませるのと同時に、人間の接近、イコール、餌の予感、という風に学習してもらいます。

 

そして徐々に練り餌など、色々なものを試していきたいと思います。

 

ふぅ~、まじで、今回なかなかしんどかった~。。。。頼むぞ!ペーター!

無換水SPS?

ひざびさにショップに行きました。連れてきたのはハシナガチョウ(チェルモン)です。既に先住のチェルモンがいるのですが、うまく一緒に泳いでくれたらかわいいだろうな~という安易な考えで導入。

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ところが!先輩に追い回され、、、

 

仕方なく、セオリーに従って先住を隔離しました。広い場所で新人を野放しにし、堂々と泳ぐようになってから、先輩を戻す予定です。

 

しかし、チェルモンの宿命というか、現時点でかなり痩せています。果たして餌付けできるかどうか。。。

 

もう1固体、連れてきたのはミドリイシのフラグです。

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現在、我が家の水槽は完全に足し水のみの無換水ですが、どこまで行けるのかやってみたくなりました。

 

無換水ではあるものの、毎日、トロピックマリンのPro Coral Mineralを添加しています。トロピックマリンと言えば、SPS飼育の王道的な塩、プロリーフシーソルトを出しているメーカーとして有名ですよね。プロリーフシーソルトは、他の人工海水をはるかに上回る70もの微量元素を含んでいて、海外の本格SPSキーパーの間で絶大な支持を得る人工海水です。ただし、お値段がバカ高い!

 

で、我が家で添加しているプロ・コーラル・ミネラルとは、プロリーフシーソルトと同じ、70もの微量元素を粉末状にした添加剤です。

 

本来は、1週間に1回、50Lにつき5g(添付のスプーンあり)の添加が推奨されています。我が家では約300Lありますから、本来であれば、1週間に30g添加しなければなりません。ですが、これまでSPSがない状態でしたし、無換水で不足するミネラルの補充のために使っていたので、別のスプーンを使って、1日に1.7gを添加していました。1週間だと約12gほどの添加になります。推奨よりも、かなり少ないです。

 

ですが、本日、フラグを導入するにあたってパラメータを計ってみたところ、Ca490、Mg1320、Alk7.5と、なんとビックリ!ほぼ理想?的な状態を維持していたことが分かりました。それ以外の微量元素がどんなだかは全く分からないのですが、この数値から察するに、他の元素も、もしかしたら良い具合なのかも知れません。ズボラな私は、トリトンなどの精密な検査には出さず、このまま行きます。この粉状元素を添加するメリットは、ヨウ素などの減少が著しい元素を、毎日新鮮な状態で補完できることです。この点だけを取れば、換水よりも補完の能力は高いかも知れません。

 

フラグたったの1つならば、もしかしたら、プロコーラルミネラルの添加だけで飼育できてしまうかも知れません。今後も継続してパラメータを計り、状況に応じて、Ca、Mg、Alkをドーシングポンプで別途添加するか、プロコーラルミネラルの添加量を増やそうかなと思っています。

 

実はこの方法を試そうと思ったのは、海外で、何人か似たような方法でSPSを飼育している人達がいたからなんです。プロコーラルミネラルを使っている人は見当たりませんでしたが、彼らは、完全に無換水で、トレースエレメントの添加だけでSPSを飼育しているのです。しかも数年やっているという猛者もいます。トレースエレメントは、当然、本物の海のバランスとは違うバランスの微量元素になると思いますが、それでも数年行けるということは、もしかしたら、もしかするのでは?と、ふと思ったわけです。

 

アホな私は、無換水、プロティンスキマーなしのSPS飼育に、ちょっとワクワクしています。果たしてどうなることやら。。。。