「やらかし」スペシャル
お気に入りの一枚が撮れました。
パイロットミドリイシが入ってから1.5ヶ月なので、まだまだ安定飼育とは行きませんが、今のところは比較的安定しています。
入海後すぐに亡くしてしまったピンクイシですが、海外フォーラムで、深場系は難易度が高く、塩分濃度が低下しただけで逝ってしまった、というコメントを見かけました。まさにうちと同じ症状。。。今後しばらくは、ツツハナガサのような共肉がうっすいタイプはトライしないと思います。。。。
こちらは割ったパイロットミドリイシ。1個を割って5個にしましたが、割った個所も共肉が覆いつつあります。
こちらは最近入海したウスエダ。ピンクイシ崩壊直後だったので不安でしたが、幸いにして健康そのものです。
照明による見え方の違いがとても面白いです。
全景
最近のパラメーターは、おおよそこんな感じで安定しています。
Ca 450
Mg 1380
Alk 7.8
NO3 10
PO4 0.03
最近壊してしまったバイオペレットリアクターが逆に良い変化をもたらしてくれました。ずっと0だったPO4が0.02~0.06くらいになって、ミドリイシの色艶が少し良くなりました。0だったときは光に対する耐性が弱すぎ、ちょっと光量を上げただけでみるみる共肉がやせ細って行く感じでしたが、今はその頃より光量を上げることが出来ています。
今の濾過機能はスキマーとリフジウムのホソジュズモですが、ホソジュズモは非常にパワフルで、バイオペレットリアクターがなくなった今でも24時間点灯するとリン酸をゼロに持っていけるくらいの余力があります。なので、リフジウム照明は弱め、点灯時間はメイン照明消灯時のみとしています。
ちなみに朝晩、冷凍ブラインまたはホワイトシュリンプを丸ごと解凍せずに1ブロック、海藻70、アサリの練り餌をあげています。
さて、なんとなく安定してきたところで、これまでの「やらかし」について語りたいと思います。
皆さん、誰しも程度の大小こそあれ、「やらかし」を経験されていることでしょう。そしてそんなときはブログなどに書くのも気が重いものです。ですが私は思います。やらかした経験こそが世の中でシェアされるべきだと!
だって誰もブロガーの本名なんて知らいないダモ~ン♪
あ。じゃなくて。自分みたいなペーペーリーファーが、どこかで自分のやらかし経験から学んでくれて、飼育に役立ててくれるんじゃないかと信じるからです!かっこ良いことばっか書いてるのって、ぜんぜんかっこよくないぞ!と私は思います。だから書きますよ、私のやらかしスペシャル!
では本題に。
汚染物質との死闘
うちの場合、水質検査の結果、錫が検出されました。ポンプ交換、水槽交換、金属クランプ撤去、全リセット、各種吸着剤など、これでもかというほど、大枚はたいてトライしましたが、、、結局コレには勝てませんでした。水槽に足りない要素を追加するのは簡単でも、要らないものを除去するのがいかに難しいかを、心底思い知りました。
最終的に最も簡単な解決法は定期的な換水でした。今も発生源は不明なままですが、よほどの発生量、発生速度でない限りは、定期的に一定量のバランスの取れた新鮮な海水で置き換えることで水質の汚染をミドリイシに影響ないレベルにまで抑制する対処療法は可能なようです。もし、蓄積量が増えてきて不調が見えてきたらリセットを敢行しなければならないかも知れません。
強光
ミドリイシ初心者(今もまだまだ初心者ですが)が最もやらかしがちなミスがコレだと思います。光を強めるとパステルになるので、もっとピカピカにしてやろうとノリノリになってしまいます。程なくして共肉から骨が透けて見えるようになり、輝きのない、ただ色が褪せただけのミドリイシが完成します。そうなると、あっという間に逝ってしまいます。光が弱くても茶色化するだけで生存は可能だし、光を徐々に強めることで復活を目指すこともできますが、強すぎる場合にミドリイシが衰える速度はとても速く、ヤバいと思ったら回復不能になっていることも少なくありません。
照明の点灯時間
南の窓からガンガン光が差し込むリビングに水槽を置いている我が家では、早朝の起床前から光が水槽に届き、夜遅くまで誰かがテレビを見ていたりするので、要らない補助照明の点灯時間が長い状態でした。照明の強度が強くないのにミドリイシの色が薄くなったりしたら、過剰な点灯時間を疑った方が良いかもしれません。うちは水槽にホムセンで買った遮光シートをかけるようになってから、褪せる傾向が改善されました。ミドリイシには何時間の照明が最適だ、と思い込む前に、照明以外に与えているかも知れない影響を把握して、何らかの調整を行ってみることをお勧めしたいです。ただし、もしかしたら、栄養塩が比較的豊富な水槽では、あまり照明についてはシビアになる必要はないかも知れません。低栄養塩だと、ちょっと光を強めただけで共肉が痩せてしまいます。
栄養塩
ミドリイシにチャレンジし始めの頃、低栄養塩こそ神と思っていましたが、それは結構大きな間違いでした。もちろん、魚が飼育可能な栄養塩と比べると格段に低くなければならないのですが、カツカツにしちゃうと、共肉が非常に痩せやすくなり、結果として光への耐性が弱くなったり、色揚げとは違う、色褪せの状態になりやすく、ミドリイシの抵抗力は格段に落ちると思います。
海外のフォーラムでは、とんでもなく高い栄養塩環境で1年以上ミドリイシを健康的に、色よく維持できたことが報告されています。ですが、この水槽はその後クラッシュ(STNかRTNの類)を経験しています。なのであまり高すぎるのは問題ですが、栄養が枯渇していても、ミドリイシは健康に維持できないようなので、ちょうど良いところを探らなければなりません。海外フォーラム等では、NO3は5~10、PO4は0.03~0.05あたりを狙う人が多いようです。自分の経験では、PO4が0のときと、0.03のときとで、ミドリイシの共肉の健康さはだいぶ違って見えました。
過剰な アルカリ度(dKH)と低栄養の組み合わせ
ミドリイシが色褪せる方向に傾いたり、先端が不健康なほどに色褪せてきたら、低栄養塩+過剰なKHを疑ってみる必要があるかもしれません。アルカリ度が高いとミドリイシの成長が促進されます。なのに成長に必要な栄養が十分でない場合、骨の成長に共肉が追いつかず、色褪せが起こるらしいです。うちの場合は、KHの低い塩に変えるなどして対応しました。逆に見ると、極端な低栄養でなければ、もうちょっとKHを上げても大丈夫みたいです。ここについては、そのタンクごとに最適な数値は変わってくると思うので、いくつが正解みたいのはないと思います。
水流
今まで自分が最も軽視していたものかも知れません。ですが、上級者になればなるほど、水流の重要性を訴える人が多いように思います。水流を最も重要な要素と言う人もいるくらいです。以前にこちらの記事で取り上げたように、流速がミドリイシの成長に与える影響は、科学的に検証済みということになります。
ミドリイシといえば、まず第一に水質、と思われがちですが、どんなに水質が良くても、タンク内の水流が十分でなければ、ミドリイシを常に鮮度の高い海水にさらすことができません。水流がうまく行っていないと、ミドリイシの抵抗力がダイレクトに低下する恐れがあると思います。
経験と観察
かっけー。「経験」とかって書くと、なんか偉そう。。。ま、そういう自慢がしたいんじゃなくて、ここホントに超重要なんですよ。
最近になってようやくミドリイシの安定飼育に近づいてきた我が家のタンクですが、最も気を付けているのは、水質のパラメータでも光の強度でも照明時間でもなくて、ミドリイシを日々眺めることなんです。毎日毎日注意深く観察すると、たった一日で、色がちょっと薄くなってる、共肉の透け具合が大きくなった、色が濃くなった、生長点が現れた、といった小さな違いを見逃さなくなります。たとえば自分の場合、起こった変化ごとに次のような仮説を立てるわけです。
色が薄くなった / 共肉が透けて見える度合いが強くなった
- 光が強すぎる
- 照明時間が長すぎる
- 栄養塩が低すぎる
- KHが高すぎる
色が濃くなった
- 光が弱い
- 照明時間が短い
- 栄養塩が高い
輝きがなくなった
- 光が弱すぎる
- 水質が悪すぎる
- イオンバランスが悪すぎる
- 水流が弱すぎる
- 水がよどんでいる
特に、自分が見るのはミドリイシのボコボコしたヒダヒダみたいな部分の肉の状態です。これがプックリしているか、カツカツに尖っているかは注意しています。その状態次第で、緊急措置としてアミノ酸を添加してみたり、照明を強めてみたり弱めてみたり、ミドリイシの位置を高くしてみたり低くしてみたりを変えてみています。
自分もぜんぜんダメダメキーパーですし、分からないことも多いのですが、観察眼を養う方法は2つあって、できれば2つともトライした方が良いと思います。
1.水槽の照明、給餌、濾過装置等の調整度合いを、わざと適切なところから外すように振って、それによってミドリイシの肌の感じ、輝き、肉付き、色合い、色の薄さ/濃さなんかがどんなふうに変化していくのかを観察します。極端に変えすぎると生命の危険にさらすので、緩やかに行ってください。あと、いじれるものを全部いっぺんに変えないでください。そのとき、ミドリイシの「色」だけが変化ではないので気を付けてみてください。自分が特に気を付けるのは、ミドリイシが太ったり痩せたりするので、そこを見ています。それも、幹全体だけでなく、ポリプのあるヒダヒダ部分を特に見ます。安定した上級者の水槽では、この様子が日々変わることはないでしょうが、私のようなへぼタンクでは、結構状態が変わります。
2.自分のタンクもそうですが、できることならば、カフェドロゼさんとか、某アクアリストさんであるとか、自分以外のタンクを見に行って、よ~く観察します。大半の場合、ほーとか、はーとか言って感心して帰ってくるだけなのですが、それでも長期飼育に成功している方々のミドリイシのコンディション(1であげたような箇所)がどんな程度になっているのかを見ることで、そこを一つの指標にすることはできます。で、うまくすれば、電気ショックを受けるような直伝の指導を上級キーパーから受けられるかも知れません。自分の場合、こういった方々から、目から鱗のアドバイスをいただいたことは多々あります。その方々へは本当に尊敬と感謝しかありませんね。
で、なぜこんなことを一生懸命書くかというと、たとえば、某上級アクアリストが、「私の照明は水面付近で何ルクスです」みたいに言ったとして、それと同じ程度を維持すれば、その人と同じ結果が出るかと言えば、全くそうではないんですね。上にも書いたように、同じ光でも栄養塩の度合いによって違った結果になってしまうし、外部からの光の影響とか、水流とか、それぞれ全部違うので。
だから目安としては参考とするにしても、マネは通用しないんですね。結局は自分の観察眼と状況への対処法を養って、何をいじるとどう変化するっていうのを、ある程度、体験して理解できるようにするのが一番安全ではないかと思うんです。
上級者でも何でもない自分がここまで書くのは気が引けるところもあったのですが、こういうことをもっと前に誰かが語っていてくれたらな、、、と思うところがあって書きました。へぼなくせに恥ずかしいですけどね。これでまたミドリイシ逝っちゃったらヘコミますし、全然違うじゃないかとおっしゃられる方もいるでしょうけど、それはそれで良いかなと。。。
ホントに素晴らしい趣味なんですよ、コレって。自分も何度も何度もウンザリするほど失敗して、いらないものに投資したりして。でも他の人には、ここまで遠回りしなくても良くて、もっとうまく行って欲しいなって思いますね。