ダイノス終息傾向へ

9月に発生したダイノスですが、ここへ来てようやく終息傾向にあり、全盛期の1~2割くらいまで減退しました。

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何度シュポシュポしようがサイフォンしようが、翌日には底砂も岩もデロデロになり、鼻水みたいのがデローンと伸びていたのが、なくなりました。ダイノスは光が当たると増殖するので、夕方には、トロロ藻の上にダイノスの気泡がついていたり、底砂も若干茶色くなったりはしますが、全盛期のように、どこもかしこも朝から晩までデロデロという状況ではなくなりました。

 

最も効果があったのは、栄養塩がある程度まで上がる環境を作って、ダイノスに競合する藻類が増えるのを待つことでした。

 

当初、茶ゴケだと思って、さらなる栄養塩の除去を試みました。苔の原因となるリン酸やケイ素の除去などを試みたのですが、これがかえってダイノスを爆殖させてしまいました。何しろダイノスは他の藻類に比べて低栄養塩下でも生存できるので、栄養塩を下げるとダイノスに競合する藻類が減退し、ますますダイノス優勢になってしまったようでした。

 

海外で効果が報告されていた殺菌灯も、うちの6Wでは威力が小さすぎて効果ゼロでした。36WのUV殺菌灯が現在中国から我が家に向かって移動中ですが、届いても使わないと思います。殺菌灯は糞などの有機物を分解するので、栄養塩の低下に寄与してしまいます。ダイノス退治後も栄養塩を下げ過ぎることで再発した事例が報告されているので、今後は栄養塩が下がり過ぎないようにモニターしなければなりません。

 

同じく海外での成功事例があった過酸化水素オキシドール)ですが、これも効果は見られませんでした。といっても、正直2日くらいしか添加しなかったので、効果がなかったと断定はできません。2日間何の変化も見られなかったのでやめてしまいましたが、継続していたらどうなっていたのかは分かりません。

 

ダイノスは酸素を好むという情報があり、スキマーも止めましたが、スキマーを停止していた2週間、全くダイノスが減ることはありませんでした。ただし、スキマーを停止したことで栄養塩が上がり始め、2週間目以降に硝酸塩が0から1に上がってきたタイミングでダイノスの減退が見られたので、酸素の低減というより、栄養塩の増加による効果の方が高かったように思います。

 

ダイノスが特定のトレースエレメント(微量元素)を好むので、換水をしない方が良いという情報もありました。我が家でも、2週間ほど換水を停止しましたが、その効果は見えませんでした。やはり栄養塩増加の方が効果があったように思います。

 

100ミクロンのソックスフィルターは、もしかしたら効果があったのかも分かりません。このフィルターをサンプの落水管に装着したのが、硝酸塩が1になったタイミングとほぼ同時なので、効果が分からないのです。ただ、100ミクロンソックスをうちで使うと、1時間もしないうちにジャバジャバあふれ出てしまっていたので、どの程度ダイノスをキャッチできていたのかが、全く検討がつきません。フィルターソックスに関する情報は、海外では色々情報があり、50ミクロンにすべき、10ミクロンにすべきなど、色々です。ただ100でこんなに速攻で目詰まりしちゃうのに、そんなに細かいフィルターだと一瞬で溢れちゃう気がします。

 

フィルターは当初、底砂のサイフォンで使用する予定でしたが、途中で方針を転換し、底砂はマガキガイに任せることにしたのと、岩の上のダイノスがサイフォンできないため、どのみちシュポシュポで吹っ飛ばすなら、落水管に設置しよう、という、ちょっと手抜きな方向に変更しました。

 

うちの水槽の岩掃除は、本来、カンギクガイが担当です。この子達は、トロロ藻だろうが石灰藻だろうが、ゴリゴリ食べる強者ですが、ダイノス爆殖後は、本当に掃除をしなくなりました。ダイノスは食べた貝を殺すくらいの毒があるらしいので、食べなくなったのも無理はありません。彼らが食べやすいように頻繁に吹き飛ばしてもムダでした。しかし硝酸塩が1になったタイミングで、消灯後にシュポシュポすると、夜間にトロロ藻を食べてくれるようになりました。当然のことながら、この子達はダイノスを食べていたわけではなく、ダイノスが吹き飛ばされ、さらに栄養塩の上昇によってダイノス以外の藻類が徐々に増えてきたことで、活発な摂食を再開した、ということのようです。

 

途中、ハギの導入も考えましたが、ダイノス付きの苔を食わせて、苔嫌いになってしまい、人工餌に走ってしまったら元も子もないと思い、思いとどまりました。結局、ライブロック上のダイノスは、第一に栄養塩の調整による藻類の多様化、次に、シュポシュポ&ソックス、最後にカンギクガイがダイノスが飛ばされた後のトロロを食べる、というサイクルで、ちょっとずつ減退したようです。ダイノスが優勢な状況では、たとえカンギクガイがトロロを食べた後であっても、翌日には、むき出しの岩をダイノスがデロデロ覆ってしまっていたのですが、現在では、むき出しの岩にダイノスが再付着することがなくなったので、やはり決め手は藻類の多様化であったのだろうと思っています。

 

底砂のダイノスをマガキガイに食わせる作戦は、自分的には、かなり効果が高かったんじゃないかな?と思っています。マガキは歩いただけでも底砂が白くなりますが、実際に口でチュルチュル食べているのを確認しています。しかも結構がっつり食べています。マガキは10匹追加したので、計15匹くらいで食わせましたが、これは良かったです。ダイノスがマガキの胃の中を通って出てきたときに、いったい何に変化しているのか?ま、一言で言うならば、うんこに変化しているわけですが、実はこれってスゴくないですか?ダイノスからうんこを製造するって、有毒な廃棄物から肥料を作り出すくらい画期的な仕事だと思うんですよね。その肥料は、もしかしたら藻類の多様化に寄与したかも知れないし、他の一般的な貝類がダイノスを苦手とするのに対し、毒を物ともしないマガキの旺盛な食欲は称賛に値すると思います。

 

ところで、ダイノスの急激な減退期には、水槽が2日間くらい、ものすごく臭くなることが海外フォーラムで報告されていました。実はうちでも全く同じことが起こりました。というか今も起こっています。ここ2~3日、水槽がものすごく、くっさいのです。オナラくさいというか、オナラをもっとヘンな感じにした、あま~い香りが、水槽付近にモワ~ンと漂っているのです。いったいコレはナニ?と思いましたが、コレがあの減退期特有のオナラ臭なのか!と妙に納得。

 

水槽のリセットに端を発したダイノスですが、皆さんも気を付けてくださいね。自分の場合は、リセット時に8~9割がた、天日干ししたライブロック(デスロック)を使ったことで、水槽内の微生物が貧弱な状態となり、さらに、ウォッカドーシング(炭素源)によって栄養塩を下げたことがトリガーとなって爆殖を招きました。またまたさらに、苔が好むリン酸とケイ素を下げようとしたことで、さらに拍車がかかり、水槽中がデロンデロンになっちゃったわけです。立ち上げ直後やリセット直後の水槽って、目に見えない多様な微生物がまだ貧弱で、しかも微生物どうしの均衡も取れていない状況だと思うのです。その間は、生体の追加は極力少量にしてゆっくり時間をかけて水槽を育てていくことが大切ではないかと思います。

 

さて、現在のチェルモンです。

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嬉しいことに、肉付きがふっくらしてきています。チェルモンは親戚のマージンドコーラルフィッシュに比べてガリ痩せでペラペラの子が多いですが、どうやらこの子の場合は、ちゃんと餌をあげてさえいれば、それなりにふっくら肉がついてくれそうです。

 

やはり一番の要因は、よく上級者の方々がおっしゃられるように、購入時の個体の選定にあると思いました。ショップでビビッて奥の方から出てこないとか、餌を撒いても追わないとか反応しないとか、ボーっとしてるとか、そういう子を避けて、餌に反応する子を見極めれば、その後の餌付けが格段に容易になると思います。

 

この子の場合、いわゆるチョウ水槽に、何十匹もの他のチョウと共に泳がされているにも関わらず、おじけづくことなく泳いでいて、撒かれたクリルを旺盛に追いかけていました。普通、チェルモンは割かし大人しい魚ばかりの区画に入れられていることが多いように思いますし、この子を買ったショップでも普段ならばそのように収容されているのです。ところが、そのときだけは、なぜか大量のチョウがいる水槽にぶち込まれていたのです。しかも入店2週間もそこにいたというのだから、本当に驚きです。こんな風に、売れ残って誰もノーマークなのに、ひそかに食うようになっていた子がいたら、絶対に持ち帰るべきです。

 

この子を餌付けしながら、ずっと観察していますが、この子は、餌をばらまいた直後だけでなく、他の子達が食事を終えた後も、ライブロックや底砂を物色していて、底砂の残り餌もついばみます。なので、おそらく店のチョウタンクでも、大量にバラまかれた餌が底に残ったのを食べていたのだろうと思います。なので、餌付けのときは、沈下性の餌を普段より多めに投下して、意図的に底砂に落ちて残っているくらいにしておいた方が良いかも知れません。

 

もちろん、おそらく自然界では、あの長いくちばしで岩の隙間のコペなんかを突いて食べているでしょうから、そもそも水槽環境のように、食べ物がフワフワと浮いて漂ってくるとか、底砂に転がっているとかっていう状況自体がちょっと普通じゃないと思うので、底の残り餌をいきなりパクパク食べたりはしないと思いますが、そのへんの学習ができてくるにつれて、徐々に残り餌を好んで食べるようになるようです。

 

あと、うちの場合は、マージンドコーラルフィッシュの存在がデカかったです。チェルモンが、まるで「おに~ちゃ~ん♪」とでも言わんばかりに、マージンドコーラルフィッシュについて回るのです。温厚なマージンドコーラルフィッシュは、いじめたりしないので、その安心感もあったのかも知れません。

 

うちのタンクでは、一番大きいマージンドコーラルフィッシュが温厚なやさしい番長で、そして飼育期間の一番長いピカソクラウンが、大きなマージンドコーラルフィッシュですら一目置く裏の番長、といったバランスです。パワーバランスの頂点にいる者が、他者に対していばりんぼうではなく、長老を敬うという構図が、この水槽の安定につながっているように思います。体は大きいけど温厚なリーダー、というのは、なかなか良い感じなのではないかなと思っています。

 

さて、ダイノス完全撲滅までもう少し!がんばります!

 

補足:ダイノスが若干ですが減退傾向に向かい始めたときの硝酸塩が1、リン酸塩が0でした。本日の栄養塩は、硝酸塩が4、リン酸塩が0.04でした。ダイノスで苦しんでいる方がいらしたら、参考にされてみてください。この傾向を見る限り、一つの目安として、硝酸塩が1あれば、若干減退傾向となりますが、1よりも多い方が減退の速度は格段に速まると思われます。本日の時点でまだスキマーは復活させていませんが、硝酸塩が1から4に上がるまでの期間が非常に短いので、今度は、何らかの効き過ぎない程度の栄養塩対策も必要になりそうです。