ガンコちゃんの報告

アクアという趣味は、大変にイカした趣味ですが、その経験の中のごく一部には、残念なことも僅かに含まれます。

 

シマヤッコのガンコちゃんは、残念ながら旅立ってしまいました。亡骸は、おそらく、ハタゴが食べたのでしょう。岩をどかしても、片鱗すら見つかりません。

 

私自身のスキルや経験がなさ過ぎるために、原因の分析がうまくできませんが、敗因はいくつか思い当たります。

  • 食べた、というだけで餌付け間近と安易に判断してリリースしたこと。
  • 中途半端な段階でブレまくり、捕獲と放流を繰り返し、慣れつつあったガンコちゃんに不安定な環境を与え続けたこと。
  • 始めから餌付けタンクを用意しなかったこと。
  • 餌付けタンクがなかったことで、ミドリイシへの水質も気にかかり、大胆な餌付けを継続できなかったこと。

水槽内の隔離エリア(カゴ)は、それはそれで、素晴らしいものだと、今でも思います。導入のショックは隔離水槽よりも小さいし、何より、自然な水流があって、カゴの中ですらシマヤッコが生き生きと回遊し、悠々と過ごさせることができました。同じシマヤッコでも、餌に対する反応が比較的良い個体であったなら、カゴでも十分に成功していただろうと思います。

 

最後の最後で餌付け水槽に移したときは、じっとして動かず、それまでのように水槽内を悠々と回遊する姿は見られませんでした。なぜかライブロックも突かず、それまでは、突きに来ていた焼き海苔とアサリミンチが入った練り餌すらも、一切見向きもしませんでした。

 

餌付け水槽には敵対するものは一切なく、人間が覗き込むのも半日に1回程度だったのに、ここまで生き生き感がなくなってしまったのは、驚きでした。確かに徐々に痩せてきてはいましたが、メインタンクではライブロックを頻繁に突き、生きようとする行動を見せていたのに、隔離水槽に入れたとたんに、じっとして動かなくなり、まるで自ら食べることを拒絶したかのように、一切餌にも反応しなくなったように見えました。

 

そして悪いことに、私は、シマヤッコを落ち着かせる目的で、本当に朝1回、夜1回くらいしか覗き込みませんでした。つまり、食べていることや突いていることを一切確認しなかったのです。

 

餌をどんどん投入し、突いているかを常に確認するという、これまでの方針を180度変更し、一切干渉しない、食べるところすら見ないことで、シマヤッコが落ち着いて食べてくれるだろう、という読みがあったのですが、完全に裏目に出てしまいました。こういったポジティブな放置は、まだもっともっと体力があった初期の段階でやるべきだったのだろうと、今では思います。

 

おそらく餌付けタンクに移ってから、全く食べていなかったのでしょう。見たわけではないので、だろう、でしかないのですが。いずれにしても、私のブレ、がトドメを刺したのだろうと。。。

 

結果からすれば、ネットで得た知識や、色々な方からいただいたアドバイスを、魚の状態を確認すらせず、片っ端から試しただけでした。魚の状態を見て、適切なタイミングで適切なことをしていれば、こうはならなかったかも知れません。

 

今にして思えば、連れてきてすぐの段階では、まだまだ十分に体力があるので、この段階では、魚に対してもうちょっと大胆なチャレンジができると思います。このときこそ、完全な隔離水槽で、「オマエ、食わなきゃ死ぬよ」という、餌と自分しかないような状況で、魚に試練を与えても大丈夫だろうと思います。ここが、これまでの自然界で経験のない未知の餌に向き合わせることができるチャンスであったのだろうと。。。

 

しかしそれも推測でしかありません。シマヤッコの餌付け難易度は超絶級で、連れてきて1週間で死んでしまった、というコメントも珍しくはないのですから、上記の方法を取って、さらに短命で死んでいた可能性もあったかも知れません。

 

もし次回チャレンジすることがあれば、隔離水槽に小さな水流ポンプを入れて、水流を作ってあげたいです。ブクブクだけでなく。シマヤッコに関しては、明らかに水流があった方がリラックスしていて、水槽内のカゴで飼育していたとき、水流に逆らって泳ぐような、まるで遊んでいるかのような姿すら見られました。たぶん、水流がなさ過ぎる場所は好きでないのでは?と。。。

 

オマエはバカか、と言われそうですが、やはり、餌、というものをしっかりと認識させる前にメインタンクに放流するのは、リスクが高い、と思います。だから言ってんじゃねぇかよ、って声が聞こえてきそうですが、メインにシマヤッコしかいないのであれば別として、他の魚がいる以上、テリトリーや餌に関して、競争や格差が生じます。粒餌を食べ物として奪いに来ないような子がメインに投入されれば、新しい不慣れな環境への警戒心も加わり、圧倒的に不利な状況となるのは間違いありません。

 

私の場合、カゴの中で餌を食べたのを確認し、メインに放流した後も、底に落ちた餌を突いていたのを確認していたので、もう半ば勝利したように甘く考えていました。メインに放流するのは、ゴリゴリに食べに来るようになった後、が正解であったのだろうと思います。そういう意味では、シマヤッコの場合、放流までに1~2ヶ月隔離水槽で飼わなければならないのかも知れません。

 

もう一つの誤算は、今回のガンコちゃんが、冷凍コペはおろか、活きブラインにすら興味を示さなかったことです。普通に考えれば、いくら口が小さい幼魚であっても、自然界に存在する活き餌は食べるのが自然かと思われたのですが、まさかの無反応でした。

 

最も良いのは、やはり、餌付け済みの個体であろうと思います。しかし、入荷後、瞬く間に売れて行くシマヤッコに関して、餌付け済みの個体の入手は不可能に近いのでは?。。。

 

産地に関して、バヌアツやマーシャル産の個体は餌付きやすいというコメントは、本当によく見かけます。日本だけでなく、海外のフォーラムでもそんな書き込みを読みました。これは本当なのでしょうか。。。真偽のほどは分かりませんが、次にトライすることがあれば、餌付け済みか、またはバヌアツかマーシャルにチャレンジするかも知れません。

 

薬物採取の問題もよくネットで見かけますが、今回のバリ産シマヤッコに関しては異常行動とか、腹が膨れるとかは、ありませんでした。なので薬物の問題については判断できません。しかし、どんな理由か全く分かりませんが、本当に本当に本当に本当に、粒餌に関する執着は、超絶的に無かったです。突いても、奇跡的に食べても、その後、それを餌として追うようなことはなかったです。そして前述のとおり、活きブラインへの無反応も、理解に苦しみます。活きブラインは、相当たっぷり湧かして、水槽中に泳がせたのに。。。粒餌なら異物と認識されても仕方ありませんが、ブラインを食べないっていうのは、なんだったのだろう。。。

 

ただ、アサリと焼き海苔への反応は比較的良かったので、それらを与えつつ、1~2ヶ月をかけて長期的に慣らして行けば、もしかしたら、というのは思います。

 

そのくせ、ライブロックはものすごく突きました。あるとき、シマヤッコがライブロックを突いた直後に、細いニョロニョロがシュシュっと岩の小さな穴の中に引っ込んで行くのを見かけました。そのとき、この子は微生物どころか、ちゃんとした生き物を捕獲しているんだ!と思ったものでした。が、いずれにしても、水槽内で安定した状態で飼うために、ライブロックの生き物だけでは、長期的には難しいでしょう。。。

 

後半は、海藻70への反応が最も良いことが分かり、それにしぼってあげていましたが、しつこいようですが、餌に対する貪欲さのなさは、致命的でした。

 

この子の場合、それが神経質さから来るようには感じられませんでした。人が見てようが、見ていまいが、あまり反応は変わりませんでした。見ていても突くときは突くし、こちらが気配を消しても、見向きもしないときは見向きもしません。

 

独り言のようにブツブツと語っていますが、、、粒餌に対する反応がガンコちゃんレベルの同じような個体がいたとして、もう一度チャレンジしたら餌付かせられるか?と聞かれたら、たぶんムリ、と私は思います。少なくとも、今の私のスキルでは。今回の反省を活かしたとしても、なお、餌付けさせる自信はありません。それと、自信うんぬんより、餌付けに要するメンタルエネルギーがハンパないのです。これを2連発でやれよ、と言われたら文字通り「泣き」入ります。なので、しばらくは再チャレンジはないと思います。たぶん。。。。

 

それか、長期的な視野で、餌付け個体が出るのを待とうかな。。。

 

というわけで、ガンコちゃんの報告をいったん終わりたいと思います。これまで色んなアドバイスをくださった皆様、月並みな挨拶ですが、本当にありがとうございます。社交辞令でなく、ホントにありがたいと思ってます。生かせなかった私はアホですが、これに懲りることなく、これからも色々と突っ込みを入れてくださったら幸いです。

 

今回、残念な報告となったわけで、私とはなちゃんのブログを応援してくださったり、ガンコちゃんをカワイイと言ってくださったりした皆様には、本当に申し訳ないです。

 

私の報告を皆様がどう思われるか分かりませんが、もし今後シマヤッコを検討される方がいらしたら、やはり、チャレンジされることをお勧めしたいです。ホントにカワイイし、キレイだし、ひょっこり顔をのぞかせる仕草なんて、いやになっちゃうくらいラブリーだし。たまらない子であることに違いはないと思います。こんなことを言ったら怒られるかも知れませんが、私とはなちゃんにとっては、素晴らしい経験でした。ガンコちゃんには、ありがとうと言いたいです。もし良い巡り合わせがあったら、いつかまた泳いでいるところを眺めてみたいです。