リアルなサンゴ礁の水温

(9/9更新 以下の記事には、続報があります。高水温は危険ですのでご注意を)

 

フラグの成長を促進するには、どうしたら良いんだろう?なんて調べごとを続けているうちに、ふと、温度か?なんてことを思い立ちました。

 

前回の投稿でメタハラが気になると書きました。海外リーファーさんたちが、成長が一番早いのはメタハラ、と言っていますよ、と。で、LEDに不足していてメタハラに豊富にあるものとして、もしかしたら紫外線(Ultraviolet light)と赤外線(Infrared light)が成長を促進する要因になっているのではないか?と推測を立ててみたわけなんですが、その記事を書いた直後に、ん?メタハラはLEDよりも水温を上げそう、と思ったわけです。もちろん、クーラーで下げるわけですが、LED水槽よりも、水温が上がったり下がったりくらいはしますよね?使ったことないので分からないのですが。

 

そう思ったら、もしや温度では?と思ったのです。というのは、赤外線は紫外線同様、目に見えない光線なので、その主な作用は色うんぬんではなく、熱伝導になると思うんです。そうしたら、たとえ水槽自体はクーラーで冷却していたとしても、赤外線直下にミドリイシを置くことで、何らかの影響を受けるのでは?と思ったわけです。赤外線は電磁波の一種なので、光としての作用よりも、電磁波的な効果の方が大きいのでは?と。

 

そう考え始めたら、メタハラで成長が速い原因は、単純に赤外線から来る熱伝導効果なのかな?などと推測してみたわけです。そしたら急に「ミドリイシの適温って何度?」と気になり出しました。そこで色々調べて分かったことは、自然下のミドリイシは、結構高い水温下に暮らしているかも知れない、ということです。

 

以下のページに、驚きの情報がありました。

http://www.ronshimek.com/salinity_temperature.html

Ronald L. Shimek博士

 

サンゴのような特定の生物に適した温度を調べるには、その生物の分布図を把握するのが良い、というのです。その分布図の中心付近は個体数が多く、分布図の周辺に行けば行くほど、その個体数は少なくなることから、中心付近がその生物の最適な水温であろう、というわけです。

 

そしてなぜ水温がそんなに重要なのか?という点について、リーフに生息する大半の生物は、自分の体温を調節できないので、その代謝は、完全に外部の周辺温度に左右されてしまうため、というわけです。このことは、上記の、個体数の多い分布の中心の水温が、その生物にとって最適な水温とみなすことができる、という説明を裏付けていますよね。もし自分で体温調節できれば、ある程度まんべんなく分布できると思うのですが、そうではなく、中心付近で個体数が多いので、その水温が、自己の代謝や活動に最適であったことになります。

 

この記事では、水温が5度変われば、代謝率が48%変化し、10度変わると、代謝率は96%変化するという別の人の論文を引用しています。

 

広い海洋には、当然年間を通じて10度以上振れ幅があるところもあるはずで、上記の研究が当てはまらなくなっちゃうのですが、私の読み込みが甘いのだと思います、たぶん、この研究にはちゃんとした前提があるはずです。しかし、いずれにしても、サンゴ礁に住む海洋生物と水温には、極めて大きな関連がある、というのは間違いないと思って良いでしょう。

 

また別の学者による論文を引用し、サンゴ全般で、最も速い成長が認められたのは、27-29度である、とも書かれています。

 

また1,000を超えるサンゴ礁の水温を測定した論文によれば、平均温度は華氏81.7度(摂氏27.6度)であったとのこと(地球温暖化が騒がれる前の論文)。

 

いかがでしょう?我々が知っている適温って25度とかじゃないですか?実際には、それよりも高い水温で生息しているケースがほとんど、ということになりそうです。

 

もっともこの記事には、水深の記述が見当たらないので、海面なのか、水深数メートルなのかが定かでないので、ちょっとはっきりしないところもあります。ネットで主要なサンゴ礁があるエリアの海水を調査してみるのも良いかも知れませんね。

 

巷で言われる25度というのは、いったいどこから出てきたのでしょう。魚の生息域で考えると、浅瀬のサンゴ礁より深いところの水温が推奨値と設定された可能性もあるのかな?なんて思ったりしました。

 

私個人は、これまで24.5度で設定していました。根拠はなくて、なんとなく、もしかしたら気持ち低めの方が苔が抑えられるかな?なんて勝手に決めつけていたところがあります。

 

この記事を読んだ方には、ぜひご注意いただきたいのですが、ミドリイシは高温だと褐虫藻が抜けて白化してしまうのは、疑いようのないことなので、お気をつけください。どの辺が限界なのかは、私には分かりません。水温をいじるときは、完全に自己責任でお願いします。そして、水温を上げると生育が速くなるかどうかも定かではありません。

 

上記のページでは、塩分濃度についても書かれていて、一般には、サンゴ礁の塩分濃度は35-38pptが普通(場所によって大きく変わる)であるとあります。たとえば35pptを25度で換算すると、比重が1.0264に、38pptだと1.0286なります。一般には、水槽の比重は1.024-1.025あたりが推奨されていることが多く、サンゴをやる水槽ではちょっと高めの1.026くらいを狙っても調子良いよ、なんて話を聞くかと思うのですが、実際には、1.026-1.028くらいまでは上げても調子良いのかも知れません(これも自己責任でお願いします!)。

 

でも、アレですよね、世界中でかなりの人たちがリーフタンクを維持していると思うのですが、水温が26度程度を許容値の入れている人は結構多いですが、比重が1.026(塩分濃度35ppt)以上っていうのは、海外フォーラムを含めて、あまり見ない気がします。

 

実験的に、ちょっと時間をかけて、少しずつこれに寄せて行ってみようかな~?と企んでおります。本格的にやるならば、条件の同じ水槽と生体を用意して比較しなければならないんですが、そこが素人の詰めの甘さです。検証はできないんですが、感覚あるいは経験的に身につけるしかないのかなと思ってます。

 

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追記:上記のRonald Shimek氏の記事では、サンゴ全般に関する水温について書かれていますが、ミドリイシに限った内容ではありません。分布図の話題が出たのですが、ミドリイシの分布図は書かれていませんでした。ミドリイシの参考水温は、各地の有名な珊瑚礁エリアから得るのが良いかも知れませんね。