フラグをもっと成長させたい!

7月11日に導入したフラグですが、ポリプはフサフサですが、ものすごく成長が遅いです。まだ約1.5か月ですから、当たり前と言えば当たり前なのですが、やっぱり、早く親指サイズを卒業して、ブランチを伸ばして欲しいですよね。

 

というわけで、海外フォーラムなんかをチラホラ見ながら、成長方法を調べてみました。

 

まず目についたのは、メタハラです。

 

メタハラ、T5、LEDを全て使用したユーザーが口々に、成長を目指すならメタハラが一番と言っているようです。現在主流のLEDのスペクトルと比較してみると、メタハラのスペクトルは、特にUV(紫外線)とIR(赤外線)の量が極端に異なっていることが分かります。どんなに充実したフルスペクトルを謳うLEDでも、UVとIRだけは、自然光には遠く及ばないものがほとんどだと思います。ですが、以下のページにも記載が海中の実測スペクトルにもあるように、UVとIRは、5.5メートルあたりまでは、がっつり届いてるんですよね。

 

http://www.haru-design.jp/led/led_experiment_1.php

 

よく、水草の育成には、UVとIRが大切と言われるようですが、ミドリイシの中の褐虫藻光合成を行っていますから、もしかしたら、植物同様、適度なUVとIRが成長を促進する役割があるのかも知れません。いわゆる光合成を必要とする植物の育成に関しては、ここいらのUVやらIRやらが成長にどう影響するのかを研究した論文もいくつかあるようです。 

 

どこかのLEDメーカーが、UVとIRを自然光並みに充実させた調光付きのLEDを開発してくれないだろうか?

 

UVとIRが必要か不要かという議論はあると思うんですが、単純に、自然下と同じ光環境で育ててみたいなぁ~という興味はあります。色揚げ/色維持が超困難と言われるスパスラータなどは、海外での成功事例を見る限り、メタハラが有効なようですし、今のところは、太陽光に一番近いのがメタハラになるのかも知れません。

 

確かに、近年、LEDは強烈に進化しました。スペクトルという面で、非常に素晴らしい成果を上げていると思います。ですが、私は、もしかして!と思うことがあるのです。

 

ミドリイシは、分類上は動物です。あんな動かない木のような生き物なのに!そしてさらに驚くことに、ミドリイシという動物は、褐虫藻という「植物」を体内に住まわせています。そしてその褐虫藻光合成を行って得たエネルギーを、ミドリイシがもらっているわけですが、ここで重要なことは、ミドリイシに植物的な活動が大きく影響しているということです。

 

ミドリイシが栄養を摂取する方法は二つあって、一つは褐虫藻が行う光合成から、もう一つはポリプから摂取するプランクトンです。LPSにいたっては、プランクトンどころか、動物をまるごと食ったりしますよね。

 

しかしいずれにしても、ミドリイシの成長を考えるうえで、植物的な光合成活動を無視できないわけですよね。

 

そう考えると、今後、LEDを含む水槽照明の、個人的に目指して欲しい方向性というのは、やはり、スペクトルやら蛍光タンパクやらだけでなく、うまく光合成が促進されるかどうか?と思うのです。そこにもし、UVなりIRなりの必要性があるのならば、それも開発のベクトルに加えて欲しいのです。だって、太陽にあって、水深の浅いところではちゃんと透過してるんですから。植物に関する論文の中には、UVは、過剰であると非常に有害ですが、適度であれば光合成を促進するというものもあるようです。あるいは、人間のような動物にとっても、骨格の形成に重要なビタミンDの生成や殺菌効果など、UVがある面では有益であることが分かっています。動物と植物の両方の面を持つミドリイシにとっても、このへんの研究がもっと進んで欲しい!と思います。

 

以下のようなページに、植物における紫外線(UVA、UVB、UVC)、赤外線の影響が書かれています。

https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1733

 

というわけで、いつかそのうち、メタハラも試したみたいなと思いつつ、とりあえず今は、それ以外の方法を模索します。

 

次に気になったのは、アルカリ度/炭酸塩硬度です。非常に面白い実験結果が、以下のページにありました。

 

https://reefs.com/magazine/how-to-grow-corals-quicker-effects-of-various-alkalinity-concentrations-on-rates-of-zooxanthellae-photosynthesis/

 

ミドリイシ内の褐虫藻光合成をテストしたところ、炭酸塩硬度6.4dKHと比較して、12dKHの方が29%も高い光合成が行われていた、というのです。

 

以下は、その理屈をだいぶはしょって書きましたが、それでも、だいぶ分かりにくいかも知れません。

 

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水中の重炭酸塩が増えると、水中の炭酸脱水酵素ミドリイシ細胞壁を通過して細胞内に入るのを助け、その、ミドリイシの細胞内に入った炭酸脱水酵素が、ミドリイシの体内にいる褐虫藻が必要とする二酸化炭素の消費を促進する、よって高い光合成が得られる、ということのようなのです。

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水中のアルカリ度を上げると、ミドリイシの成長が促進される、と言われますよね?そして、照明の強度を上げたりすると、ミドリイシによるアルカリの消費が促進され、水中のアルカリ度は下がる、という風に、私は理解していたわけなんですが、実は、ミドリイシがアルカリを消費していたわけではなくて、高いアルカリ度が間接的に褐虫藻光合成を助けていたんですね。

 

というわけで、現在、7dKHを若干下回っている我が家のアルカリ度を、時間をかけて8~9dKHあたりまで持っていってみようと思います。

 

ちなみに上記テストは、特に強い照明下で行われたわけではなく、どちらかと言えば、弱い照明下で行ったと書かれています。

 

ここで一つ、非常に面白い事実が分かりました。照明の強度を上げたり、照射時間を長くすれば、ミドリイシの成長は促進されますよね?それは、ただ単に光を強くしたから起こるのではなく、照明の強度を上げるのに伴って、当然、ミドリイシキーパーの皆様はアルカリ度を測定し、アルカリ度が下がらないように、カルシウムリアクターを調整したり、自分みたいなボーリングメソッドの人なら、アルカリのドーシング量を増やしたりして、水中の重炭酸塩を上げているわけですよね。だから、重炭酸塩濃度の上昇が光合成を促進し、成長度合いが上がるのであって、もし照明だけ強くして炭酸硬度を上げなかったら(そんなこと普通のキーパーさんはやりませんが)、ミドリイシを成長させるのではなく、単に、焼いている、ということになってしまいます。

 

逆に言うと、照明を強くしなくても、アルカリ度/炭酸塩硬度を上げるだけでも、光合成が高まり、ミドリイシの成長度合いを上げることができる、ということだと思います。

 

とりあえず、自分の場合は、この、照明を特別強くすることなく、炭酸塩硬度の上昇によって、褐虫藻光合成を促進する方法によって、フラグの成長を促したいと思います。

 

ミドリイシの成長が促進されると、生長点が見られるようになりますよね?そうすると、枝の先端部分だけは輝いて見えますので、いわゆる色揚げとは違っても、見栄え的にもとても良くなるんじゃないかと想像しています。あるいは、もしも、成長に伴ってミドリイシの生長点だけでなく、ヒダヒダ部分が明るくなるようになるのであれば、それこそ色揚げ成功、ってことも、なきにしもあらず?かなと思ったりもします。

 

もしこれがうまく行けば、照明でミドリイシを焼いちゃうとか、褐虫藻を抜きすぎてミドリイシを健康をギリギリにしちゃうとか、そういったリスクを冒さずに、そこそこの色揚げができるかも知れません。いや、できるかもというより、上級者の皆様はこんな感じで色揚げされているのではないでしょうか?

 

そう思うと、よく巷で言われる、成長モードか、色揚げモードか、っていったいどういうことなんだろう。。。上に書いた自分の推測では、成長あっての色揚げかなと思ったんですが、成長させずに色揚げするって、どういうメカニズムなんだろう。。。あまり炭酸塩硬度を上げずに照明を強くし、かつ栄養塩をカツカツにして褐虫藻を抑制気味にするということなのだろうか。。。。分からない。。。。

 

ところで、特に低栄養塩水槽でdKHを上げると、ミドリイシの先端が焼けてしまうので、もしこのブログを見て、やってみよう!と思った人がいたら、注意してくださいね。

 

dKHと、栄養塩濃度と、照明の強さは関連性があって、栄養塩が低く照明が強い水槽では、dKHは抑えめにしないと焼けを起こす可能性があり、逆に栄養塩がある程度あって、照明もあまり強くない水槽では、ある程度dKHを上げても焼けを起こさないようです。

 

一般的には、超低栄養塩水槽ではdKHは7~8くらいまで、栄養塩が高い水槽ではそれ以上も許容可能とされているようです。といっても、海外でも9dKH以上にしている人は、ほどんど見かけません。

 

ところで、今のところ、約1.5か月はうまく行っている無換水でのフラグ飼育に気をよくして、ヤフオクで追加のフラグをポチってしまいました。到着が楽しみです♪ 以前はフラグにはあまり興味はなかったのですが、こうして成長について考えだすと、どうも小さいものから育ててみたいという気になってきます。

 

どうなることやら。